Hiromi Inayoshi Interview インタビュー | Hiromi Inayoshi Official [稲吉紘実]

THE NEWS TODAY :
INTERVIEW WITH HIROMI INAYOSHI

マーク・ロゴデザインのマスター
稲吉紘実、ザ・ニュース・トゥディー紙インタビュー
2010年6月6日[日] ダッカ市
インタビュアー: Mhabib Husain Khan (HMK)

TITLE
HIROMI INAYOSHI, MASTER ARTIST OF
MARK (LOGO) DESIGN

HMK : あなたはいつ、どのようにアートと
グラフィックデザインの分野におけるキャリアを
スタートさせましたか?

稲吉紘実 : 私は、3歳の時から絵を描いて
いたようです。4歳の時には、私の自宅には、私に絵を
描いて貰いたい人が列をなしていました。
5歳の時には、私は将来画家になろうと決めました。

私は11歳から15歳まで、バンコクで暮らしました。
父がアジアホンダの社長に就任したからです。
その時に、東南アジアの国々をほとんど巡り、東洋
美術を学びました。

日本に戻り、私の叔父がグラフィックデザイナー
であったことから、グラフィックデザインという世界を
知り、叔父の勧めもあり、グラフィックデザイナーを
目指すことになり、武蔵野美術大学のコマーシャル
デザイン科で学びました。
その時代には、ジャズに多大な影響を受け、デザインを
学ぶ以上に、音楽に啓発されました。その後、
広告代理店2社を経て、26歳で独立し、デザイン会社を
設立しました。

24歳の時に、すでにマーク・ロゴの重要性を
悟り、 Corporate Identity Design の概念は、日本
には、まだ、ありませんでしたが、企業、団体の
トップとデザイナーが対等に、また、コンサルタントと
しての立場で仕事を行うには、マーク・ロゴを
デザインするCorporate Identity Design しかないと
確信しました。

以降、学校では教えない、また、どこにもない、
私、稲吉紘実独自のマーク・ロゴデザインのスタイルを
築き、「マークは絵であり、芸術である」との信念の
もと、今日まで、マーク・ロゴデザインがグラフィックの
真髄であり、企業や団体、そして、人物の内なる、
目には見えないもの-肖像をシンボライズした、新たな
芸術であると宣言し、世界中で活動しています。

撮影:藤井保

HMK : 何があなたを、クリエイティブなグラフィック
デザインへと魅了したのですか?

稲吉紘実 : 私は、生まれながらにして芸術家で
あったようです。規制された社会の制度に馴染むことが
できず、学校で勉強することは、あまり好きでは
ありませんでした。常に何か新しいものに興味があり、
自然や動植物に大きな影響を受けました。
そして、被造物である花や、蝶や熱帯魚の美しさに
魅せられ、自らも美しいものを生み出したい、
創造したいと、子どもの頃から願っていました。そして、
その想いが、グラフィックデザインという道、
芸術という道へ、私を誘ったのではないでしょうか。


HMK : あなたの最もクリエイティブで、満足している
作品は、何ですか?

稲吉紘実 : 私は自らの作品をそのように創造
しようと、常に考えてデザインしており、妥協したこと
がありません。それは、気の遠くなるような
緻密さで仕上げをし、完成させます。そして、それぞれ
テーマも違い、また、世界で私だけの特許とも
いえるパーソナルマークにおいては、人それぞれの内
なる個性の違いがデザイン、アート化され、
ビジュアライズされるわけですから、どれが良いかとか
の判断はあり得ません。すべて満足する作品です。
パーソナルマークにおいては、数百人の有名無名含めた
人々の作品を創作しておりますが、私自身が
優劣はつけられません。

HMK : 個人的なブランドマークをつくること、
パーソナルマークはなぜ重要なのでしょう? それは
どれほどの力を持つのでしょうか?

稲吉紘実 : これからの時代、いや、この混沌とした
時代に、個人の力が重要です。個人がきちっと
強い意志を持ち、立ち上がり、世界の問題を解決して
いかなくてはなりません。1人の偉大な力、例えば
ガンジーや、マザーテレサ、そしてユヌス博士のように、
個人の信念で世界は変わります。
パーソナルマークとは、内なる肖像です。私の創る
パーソナルマークにより、その個人が自らの
素晴らしさや使命を再確認することになります。そして、
誇りをもつようになります。私はその手助けを
パーソナルマークでしたいのです。そして、その人の
パーソナルマークは、永遠の生命を得て、
芸術の歴史に残るのです。モナリザのように……

稲吉紘実の芸術-パーソナルマーク : 人類を考える人
立体漆蒔絵・螺鈿仕上げ

HMK : あなたは世界や日本において数々の
賞を獲得されていますが、どの賞があなたにとって最も
価値がありますか?

稲吉紘実 : ニューヨークADCでした。
ニューヨークという世界のデザインの最先端で、100年
近い歴史をもち、世界の広告業界を牽引してきた、
その権威と実績が、デザインのアカデミー賞であると
いわれる所以です。

私は、このニューヨークADCの最も難しいといわれる、
アドバタイジングポスター部門で2つの金賞を
同時に受賞するという、日本人、アジア人で初めての
快挙を成し遂げました。いまだ、この記録は
破られていません。ナイキや、アップル社、IBM、etcと、
世界の錚々たる企業の、数万点の広告ポスターと
競い、その栄光を勝ちえたのです。しかも、それは2つ
とも、NPOのCI、イメージ広告ポスターで、マーク
そのものをポスター化した、それ自体も世界で初めての
快挙だったのです。そして、ニューヨークADC
では、その後、新たにNPOや、社会貢献の広告部門を
設立したほどです。そして、そのことにより、
私は世界で初めてのソーシャルデザインの提唱者であり、
実行者、 ソーシャルデザインイノベーターと
なったのです。

ニューヨークADCで、世界の頂点を極め、
そして、私のマーク・ロゴデザインの概念が世界の
どこの、誰よりも進化したため、私の創る
マーク・ロゴを審査することは、何人も不可能と考え、
ある時期から、一切のデザイン賞への出品をやめる
ことにしました。また、パーソナルマークという個人の
マークを審査員の好みで優劣をつけることは
不謹慎と考えたのも、その理由です。それに、100を
超えるデザイン賞を受賞すれば、もう充分でしょう。
私はそれほど欲深くはありません。

NICのCIデザイン:コーポレートイメージポスター
日本タイポグラフィグランプリ受賞他

HMK : あなたのような革新的で正しい考えを
もった人々の努力によって、世界における平和が切り
開かれると感じられますか?

稲吉紘実 : 私は確信しています。そして、
私はそれを成し遂げるでしょう。デザインとは、単なる
ビジネスやお金儲けの道具ではありません。
デザイナーやアーティストは創造者なのです。創造者
とは、これまでないものを新たに生み出したり、
再生します。もし、みなが、デザイナーや芸術家が、私の
ような生き方や心、そして技術とセンスをもって
くれたら、この世界は平和で美にあふれた、センスの
いい世界になるに違いありません。

デザインとは、芸術とは、その為の道具なのです。
私自身、この世界を平和にする為に、この地球にやって
きた道具であり、メッセンジャー、そして
成しとげる者なのです。そして、大事なのは、ただ「世界
を私の力-マークで、デザイン・芸術で平和にする」
と思い、思いつづけ、行動することです。そして、細部に
わたり気をつかい、基本をなおざりにせず、一歩
一歩、亀のようにゆっくりでも、そう願い生きることです。
ただし、簡単ではありません。24時間すべてを、
仕事に捧げる決意をしなくてはなりません。

私は一度離婚していますし、あえて子どもも
作りませんでした。それは、デザインと芸術だけを考えて
いたいから、いや考えなくてはならないからです。
寝ている時も考えています。溢れるほどのプロジェクトを
抱えています。私にマークを創って貰いたい人が、
今も100人以上待っています。その他に、2つの会社を経営し、
NPO法人の理事長で、平和活動をしています。

ALIVEのCIデザイン:コーポレートイメージポスター I
ニューヨークADCアドバタイジングポスター部門 金賞

HMK : 現在の、あなたの社会的に促進的で
福祉的な活動はなんですか?

稲吉紘実 : 私は、NPO法人 Earth Identity Projectsの
理事長をしています。私がソーシャルな活動を
始めたのは、1996年です。私はデザインが、Corporate
Identity Designが単なるビジネスの道具ではないと
証明しなければならないと思いました。そして、自らの
才能が企業活動だけに消費して、人生を終える
先達を多く見てきました。何と虚しいことでしょう。
企業そのものを否定するわけではありませんが、
デザイナーが企業を選択するべきだと、私はそれを
貫いています。

その企業は本当に正しいか、地球にとって、
世界にとって、人々にとって、その商品は正しいか……
すべてを確認し、初めて交渉がスタートします。
偶然か、私の仕事をリスペクトし、Corporate Identity
Designを依頼してくれる企業や団体は、
素晴らしい哲学や考え方をもっています。よくいう、
類は友を呼ぶということかもしれません。
私は、1996年に初めて、私からクライアントを公募する
という広告を、自ら新聞や雑誌に掲載しました。
クライアントは、公共団体や非営利団体に限りました。
そして、無償で、あなたの団体のCorporate
Identity Design、マーク・ロゴをデザインしてあげます、
という広告です。前代未聞でした。それは、
お金の世界を超える試みをしてみたかったのです。

当時、私の創るマーク・ロゴの金額は、日本で
一番高いと言われていました。ある企業のマークは
3,800万円で、今日までこの金額はアジアで
一番高いマーク単体の値段として語り継がれています。
ですから、この公募は大きな話題となり、
日経新聞の1ページ全面に私の活動が掲載されるなど、
社会現象になり、数百のクライアントからの
公募がありました。その中から、私は2団体を選出し、
Corporate Identity Design展を開催し、
CIルネッサンスコミティーを設立したのです。それが、
ソーシャルデザインの始まりだったのです。
そして、その2団体の1つの団体と、私のCIルネッサンス
コミティーの2つの団体の、Corporate Identity
Designポスターが、ニューヨークADCの金賞を受賞
したのです。

ALIVEのCIデザイン:コーポレートイメージポスター II
ニューヨークADCアドバタイジングポスター部門 金賞

そして、その後、私はCorporate Identity Designの
手法やマーク・ロゴで、社会問題を解決したいと
願い、NPO法人Earth Identity Projects会長の河原裕子
と共に、バングラデシュ人民共和国でNGO活動と
ソーシャルデザイン活動を始めたのです。それが同国の
National Identity Projectです。

1996年12月には、同国の国会議長であった
フマユン・ラシッド・チョウドリー閣下を主賓に、
同国クリグラム地区で、文字も絵も描いた
ことのない貧しい13,000人の子ども達と、1mx10mの
布1,000枚に絵を描き、翌日、子ども達の
1,000人のお母さん達が縫い合わせ、100m四方の
「世界一大きな絵」を制作しました。
チョウドリー閣下は、その子ども達に演説しました。
「未来をつくる黄金の子ども達よ、永遠なれ」と。

その後、この「世界一大きな絵」プロジェクトは、
各国で開催され、2020年までに世界中の子ども達の絵を
繋ぎあわせ、国や人種や宗教、そして言葉を超えて、
1枚の大きな絵にし、[平]面の上での[和]合=平和
というコンセプトで続けています。そして、
完成した、「世界一大きな絵」が、地球の象徴、マーク
となるのです。

2000年以降は、フマユン・ラシッド・チョウドリー
閣下の指揮の元、ルイス I. カーンのダッカ首都計画に
基づき、バングラデシュに国会議事堂[ルイス I.
カーン設計]隣接地に、セントラルモスク建築の依頼を
受け、国会議事堂や首相官邸で、ハシナ首相に
プレゼンテーションしました。また、シレット市のシンボル
マークとダッカ市のシンボルマークもデザイン
しましたが、チョウドリー閣下が亡くなり、政府も
変わってしまいました。

CIルネッサンス委員会のCIデザイン:コーポレートイメージポスター I
ニューヨークADCアドバタイジングポスター部門 金賞

この一連のプロジェクトは、デザイン、芸術の
力で、バングラデシュのイメージを変えるという使命が
ありました。今回、NPO法人Earth Identity
Project主催で、私の総指揮で行われる、Conqueror
Corporate Identity Design Contest 2010
Bangladeshも、バングラデシュのデザインデベロップ
でもあると同時に、バングラデシュから最も
革新的なマーク・ロゴやCorporate Identity Design の
進化を世界へ発信しようという私の意図があります。

名誉審査委員を2006年のノーベル平和賞受賞者
であるムハマド・ユヌス博士が引き受けてくださった
事で、このコンテストの価値は、計り知れない
ほど高まり、世界中に報道され、ビックニュースと
なっています。また、もう一人の名誉審査員は、
広島原爆記念資料館、平和記念公園等を統括する、
公益財団法人広島平和文化センター理事長の
スティーブン・リーパー氏です。審査委員長は私が
務めます。そして、コンテストの課題テーマは、
「真の平和-貧困のない世界、核兵器のない世界」です。
そう、まさに、このコンテストもソーシャル
デザインなのです。そして、課題部門の金賞受賞者は、
NPO法人Earth Identity Projectsが広島市に
招待します。

コンケラー Corporate Identity Design
コンテスト2010+稲吉紘実展ポスター : マークは芸術に昇華する

HMK : グラフィックデザインが教えられている
ところで、あなたが所有しているか、管理している学校や
大学はありますか?

稲吉紘実 : 現在はありませんが、将来は
CorporateIdentity Designやマーク・ロゴを核とした
大学や専門機関を作らなくてはいけないと思って
います。日本にありませんし、たぶん世界中見回しても
ないと思います。大学にグラフィックデザイン科
というものがありますが、旧態依然とした体制では、
Corporate Identityデザイナーは育ちません。
Corporate Identity Design、Corporate Identity
デザイナーは、すべてのデザインを包括する
力がなくてはなりません。それにある意味、ビジネス、
企業経営も熟知していなくてはならないからです。

※ 2013年に、稲吉紘実は日本人では初めて、
グラフィックデザインの聖地、ポーランド共和国の
国立美術大学(国立ストゥシェミンスキー
美術大学)の教授に就任する。教授就任を機に、
「マスターアーティスト稲吉紘実プレゼンツ-
ポーランド国立ストゥシェミンスキー国立美術大学
Corporate Identity Design & Social Design
コンテスト2014-2015」をポーランドで、開催。

HMK : あなたの哲学と未来の計画をきかせてください。

稲吉紘実 : 私の哲学は、芸術的な生き方を
するということです。芸術的な生き方とは、何ものにも
とらわれず、自由で、人類の進化の為、自らの
才能を道具として、世界の問題を美で解決していくと
いうことです。そして、「マークは芸術」であるという
ことも、私の重要な哲学です。未来のプランは
たくさんありますが、デザイン、芸術でこの世界を真の
平和へと導き、実現することです。

その為に私は、生命をかけて尽くしたいと思っています。

クラッシックホールの殿堂
すみだトリフォニーホールのCIデザイン:
シンボルマークとエクステリアデザイン

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